初めてドバイ国際空港に降り立ったのは2017年、年末。「カンドゥーラ」と呼ばれるあのアラブ人の白い服とターバンを巻く入国管理スタッフを見て、気持ちが一気に高揚したのを覚えてる。ああ、中東に来たんだなあって。
みなさんは中東と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。
紛争、イスラム教、砂漠、ラクダ、石油…
しかし、ひとたび「ドバイ」と聞くと、それらのイメージとは打って変わって、「お金持ち」「発展」といった、煌びやかな光景を想像する人も多いのではないだろうか。
「中東初進出!」と意気込んで向かった先のドバイは、周りから激しく”浮いた”都市に思えた。
みなさんがドバイに行ったら是非思考を巡らせて欲しい、ドバイという都市のチグハグな点について記そうと思う。
現地女性の地位vs外国人女性の肌の露出
空港からホテルに向かう電車で感じた。
男性が、デカい、深い、濃い。
毛むくじゃらでさすがアラブ人だと思った。
女性は…というと、なんと女性の姿が電車内に見当たらない。
そうだ、イスラム圏では女性はほとんど家の中にいるんだった。
ちなみに私がドバイに到着したのは12月24日。しかしもちろん、イスラム圏のこの国ではクリスマスムードのかけらもなかった。
そして改めてイスラム圏の女性のしきたりを思い出す。
これは、女性と子どものための優先席の表示である。
イスラム圏では、「女性と子どもは守られるべきもの」といった考え方がある。
こう言うと聞こえがいいかもしれないが、要するにイスラム圏で女性と子どもは「守らなければ、彼らだけでは生きていけない弱い存在」なのである。
「仕事をして稼ぐのは男性」ということがイスラム教の聖典「コーラン」にもはっきりと書かれているらしい。実は日本人もみんなコーランを読んでいるんじゃないのか?
また、コーランには女性へのスカーフの着用が示されている。目元以外がすべて黒で覆われたあのイスラム教の女性の服をイメージしてほしい。あれは性抑圧の観点からきている戒律だ。イスラム教の女性は肌を露出することを許されていない。
余談だが、後にイスラム教の女性から、「だからこそアイメイクをめちゃめちゃ頑張る」という話を聞いたことがある。結局化粧でアピールしてたら戒律の本質見失っとるやん。
そんな話はさておき、どの観光ガイドブックにも、イスラム圏では女性は肌を露出しないように!と書いてあるので私も気をつけるようにしていた。
ところが。
ドバイ近郊にあるビーチを訪れたときのこと。
なんと、外国人がビキニでうろうろしているではないか!
話を聞くに、どうやら、現地在住らしい。いわゆる世界の富裕層として集まったってやつ。
郷に行ったら郷に従わなくてよいの????
現地のイスラム教の女性たちは、このことについてどう思ってるんだろう。
外国人が日本の電車の中で大声でしゃべってたら、私は嫌だけどね。
都市部のゴージャス生活vs一歩外の砂漠
言わずと知れたブルジュハリファ。ドバイに行ってこれを見ずに帰る観光客はいないだろう。
なんと言っても、世界一の高さを誇るらしい。
ドバイはこの他にも、世界一のものがたくさんある。
世界一大きい観覧車、世界最大の噴水、世界で最も高い位置にあるプール…。なんともゴージャスな街である。
個人的に圧倒されたのは、パーム・ジュメイラ(Palm Jumeirah)と呼ばれる人工島。
こんなカタチをしている。
これが、人工的に作られたんですよ。海の上に。
こちらはパームジュメイラを代表するホテル、アトランティス・ザ・パーム。お城か。
ちなみにこれは人口島を電車の中から撮った様子。とても中東とは思えない雰囲気!
ドバイってすげー!と圧倒されつつ、私はドバイからバスで一時間半ほどの距離にある、大本命のアブダビのモスクに向かってた。(バスに乗るのに3時間並んだ話はまた今度。)
走ることほんの20~30分…
砂漠と、草だ。
忘れてた。ここは、地理的には砂漠地帯だ。
え?もしかして、ブルジュハリファが建つ前の土地には草が生えてたの??
砂と草しかない土地が開拓されてあの都市ができあがったかと思うと、一体何のためにドバイは世界一のものをたくさん作ったのだろう。
一体何のために世界の富裕層をここに集めようと思ったのだろう。
一体誰が幸せになったのか
昔、少しではあるが、地域の街おこし的な活動をしていたことがある。
地元の名士達は、まだ若かった私たちに「訪れた人もハッピー、地元の人もハッピー」を基本とする街づくりの基本理念を教えてくれた。
私にとってドバイという街は、「地元の人のハッピー」をいささか無視しているように映り、激しく違和感を覚えた。
しかし、同じようにドバイを訪れた街おこしの大先輩は、「0から自由に自分の作りたい街を作れるなんて、わくわくする!」という感想を持ち、その理念を生かした街づくりを現在もなお日本の地方で実践している。
その土地が本来持つ良さを生かした街づくりと、何もない(ように見える)ところで、0から思い通りの街を描くのと、どっちが正解なんだろう。
あなたもドバイに行ったら、この都市計画によって一体誰がハッピーになったかについて考えてみてほしい。
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