UAE旅行記②心を奪われるモスク@アブダビ

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UAE(アラブ首長国連邦)に行ったのは、アブダビのモスク(イスラム教徒の礼拝堂)を見るためだと言っても過言ではない。

モスクをこよなく愛している。

成田空港に向かう高速バスの中から、モスクらしきものを発見したとき、即座にカメラを取り出してシャッターを切った。あとからそれがカップル用ホテルだと気付いたときに憤慨するほどには、モスクが好きだ。

今回はアブダビのシェイク・ザイード・グランド・モスク(Sheikh Zayed Grand Mosque)の紹介を中心に、みなさんがモスクを訪れたときにぜひ着目して欲しい豆知識などを記そうと思う。

シェイク・ザイード・グランド・モスクの外観

その壮美に涙が出る。

昔、セーラームーンの大ファンだった。あの宮殿、「ムーン・キャッスル」はこれがモデルなのではないかと思う。

真っ白な外観と青空のコントラストが素晴らしい外観。

モスクには「ミナレット」と呼ばれる塔が必ず存在する。ミナレットは1日5回ある礼拝の呼声として利用されている。礼拝堂のマイクからスピーカーがつながっており、近隣住民にお祈りの時間を知らせるのである。

小規模のモスクであればミナレットが一本ということもあるのだが、シェイク・ザイード・グランド・モスクはその大きさもあって、4本のミナレットが置かれている。シンメトリーな構えもまた、美しい。

大理石仕立ての床・柱・壁

モスクの中には、信者以外は入館禁止、また女性は入館禁止となっているものも多い。しかし、シェイク・ザイード・グランド・モスクは、信者でなくても立ち入りを許されている貴重なモスクだ。

なんと入館料は無料。入念な持ち物検査と服装チェックがあった。女性は少しでも肌の露出がある服を着ていると、「アバヤ」と呼ばれる肌を覆う衣装を貸し出される。これはモスク訪問時の掟でもある。

足を踏み入れて入ってまず圧倒されたのは、大理石仕立ての床・柱・壁

モスクは土足厳禁。全員裸足で見学しなければならない決まりになっているため、かなり暑く感じるが、その感触は忘れられない。この長い廊下を越えると、館内にたどり着く。

絢爛なシャンデリア

外から見ると丸くなっている部分の内側である。なんと絢爛なシャンデリアであることか。

シャンデリアのデザインも様々。ドームになっている部分を下から見上げるのもたまらない。

偶像崇拝禁止と礼拝の向き

さらに中に進んでいくと、実際に膝をつけてお祈りをする部屋(空間)がある。

ここで、少しキリスト教の教会を想像してみてほしい。お祈りする先に、「イエス・キリスト像」がないだろうか。

また、仏教でもいい。寺院を訪れればそこに仏像が存在する。

ところが、イスラム教ではこの「偶像崇拝」が禁止されている。

イスラム教の教えによると、「神(アッラー)は万物を作った存在である」らしい。しかし、神(アッラー)の作ったものの1つにすぎない像を拝むということは、神と他の万物を対等に見る行為と見なされてしまう、とのこと。

このような理由から、モスクには”人”を想起させる絵画も像も存在しない。

ではどこに向かって祈るのか?

「メッカ」の方向

膝と頭をつけてお祈りをする部屋(空間)には、「ミフラーブ」と呼ばれる、メッカの方向を示す壁が置かれている。

シェイク・ザイード・グランド・モスクではこの空間の撮影が禁止されていたため、こちらの写真はイメージ図として。

メッカとはどこか?

サウジアラビアにあるイスラム教の聖地のことである。 ムハンマドが生まれた場所だ。

世界中にあるモスクはこのメッカの方向をもとに建設されているのだ。

余談だが、私が東南アジア~中東のモスクを訪れていたとき、あることが気になっていた。

午後にモスクに行ってモスクの正面(入り口側)から写真を撮ると、いつも逆光になってしまう。 

そして、太陽が沈む方向や東南アジア側から見たメッカの位置を考えたとき、これが偶然でないことに気づき、合点がいったものである。

モスクの正面から青空の写真を撮りたければ午前中、モスクの背後の夕日とともに写真を撮りたければ夕方の訪問をおすすめする。(サウジアラビアから東にあるモスクに限る。)

幾何学模様(アラベスク)

先に述べた通り、偶像崇拝禁止のイスラム教の礼拝堂モスクには、人を想起させる装飾は存在しない。イスラム教に天使なんていない。

引き換えに、「アラベスク」と呼ばれる幾何学模様の壁面装飾に注目したい。

この幾何学模様は、模様がとぎれなくずっと続いていることも相まって、イスラム教徒にとって「無限」を意味するらしい。

イスラム教の象徴的な存在である月や星をはじめ、花・草・水・土などの壁画のモチーフとなる自然はすべて無限に存在するものだ。イスラム教徒の自然観を示しているともいえるのだろう。


私はイスラム教徒でもないし、宗教学者でもない。しかし、モスクに出会ってからというもの、イスラム教の世界に魅了されてしまっている。

みなさんもモスクを訪れた際には、その世界観にどっぷりつかってみてほしいと思う。

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